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あの地震、原発事故。あの時の雨を忘れない。
傘をささなかった僕も幼き息子を濡らすまじと傘さして車まで。
黒い雨を、温い風を。
僕らには共通の敵がいた。
もうおしまいだと思った。
これから生きる子供たち。
まだ生きていたかった僕。
きみはどう思ってたのか。
わからないけれど、きみはすっかり忘れてしまったよう。何年かすれば元通り。けれども僕はあの雨を忘れない。放射能の事は良く知らない。けれども放射能の雨が放射能の海に注ぐ。それでも海の魚はとびきり美味しい。
みんなが雨上がり。
僕だけずっとずぶに濡れて、あの雨この雨思い出す。
きみを忘れたい。世間を忘れたい。
そしたら世間を知るしかない。
女のひとが魅力的なのを思い出したけど、僕には何にも出来ない。
きみに叶わぬ恋よりマシと、けれども彼女、辛そうなんだ。
それでも関係ない。ひょっとして、きみの僕への気持ちと同じかも。
ならば良かった。身の程知れた。
暗い暗い、夜の雨に、とけてなくならせてはくれないだろうか。
笑えるね。
ほんとうにぜつぼうしてしまったんだ。
いきていたく、なくなった。
雨さん、サイナラだ。
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