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「田舎者にはお綺麗な言葉も言い回しもよくわからないのよ!」
「あら。ガーナちゃんの出身はフリークス公爵領でしょう? 公爵家が治めている地域は田舎とは言えないのではないかしら」
「一応はね! でも、私の出身は、公爵領の一番隅っこにある田舎の小さい農村よ。公爵領なんて名前だけよ。名前だけ!」
皇帝が身分制度の撤廃を訴えても、学園からは差別がなくならないのは仕方がないことなのかもしれない。
身分制度も身分差別も必要であると学園側から訴えるように唆されている者たちが紛れ込んでいるのだろう。
そのようなことはガーナだって知っていることだ。
「堅苦しいのは、性悪貴族だけで充分よ。私にそれを求めないでちょうだい」
ガーナは貴族が好きではない。
もちろん、ライラのような例外もいる。
友人の中には差別主義者ではない貴族出身者の者もいる。
「どうせ、卒業したら、田舎に戻って農作業の日々になるんだもの」
類は友を呼ぶというのだろうか。
変わり者ばかりがガーナの周りには集まっていた。
「私は絶対にあんな性悪になんかならないって決めているわ」
市民すら貴族のようになってしまっては、この国は終わりだろう。
民主主義を求める民の声は、永久に届かない国になってしまうのだから。
「それにね。その台詞! 今日で何回目の台詞だと思ってるのよ」
ガーナはライラから視線を逸らした。
まるで子どもが欲しいものを買ってもらえずに拗ねているかのようだった。
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