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……止めなくては。
ここで引き留めなければ、良くないことが起こる気がした。
……私が止めないと!
警告をするように頭痛がする。
その意味を知っていた。
「お待ちください! 私を置いて行かないでくださいませ!」
そんな目で見られていることなど気づかずに、ライラは叫ぶ。
気にしていられるほどに冷静ではいられなかった。
「ガーナちゃん!!」
今は、ガーナを引き留めることがなによりも大切な行動だった。
「あっ」
急に走り出した為にバランスを崩し、倒れる。
その際、荷物は地面に叩きつけられ、ライラは悲鳴を上げる。
……痛いですわ。痛くて、痛くて、仕方がないのです。
普段ならばそれに気づかないガーナではない。
ましてや、なにも言わずに置いていくような人ではない。――それをしなければいけないほどに、ガーナは大切ななにかを見つけてしまったのだろう。
……ガーナちゃんが、あちらへ行ってしまう前に引き留めなくては。これは私にしかできないことなのですから。
地面に叩き付けられた痛みよりも心が痛む。
これから先、ないか良からぬことが起きてしまうのではないか。
根拠のない不安が心を覆う。
「ガーナちゃん……っ!!」
必死に手を伸ばした。
視界には美しい青髪は映らない。
「行かないで!」
振り返ることすらしない。
突然、前触れもなく開いた距離はなにかの暗示であるようにすら感じてしまう。すると、突然、寒気が襲ってきた。
身体を震わせるのは恐怖感だ。
大切な者を失ってしまう。思わず、そう錯覚していた。
「ガーナちゃんっ……!!」
叫ぶ。愛おしい親友の名を叫び続ける。
引き留めなければ、全てが変わってしまう気がしていた。
……あぁ、神様、お願いですわ。
自由を愛する少女には、二度と会えないのではないだろうか。
どうしようもなく不安だった。
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