実況動画

10ｍほど先、一人の若い女が辺りを気にしながら速足で歩いている。
可愛らしい後ろ姿だからもったいないが、編集の時、顔が分からないように加工しなければならない。
今から行う事を思えば、本人の出演許可が下りるとは思えないからだ。
周囲に人影はない。
女の様子を伺うと、後ろからつけている俺の存在には気付いていないようだ。
新しく用意したヘッドセット型のカメラは、俺の視界をそのまま映し出せるように調整してある。
高性能のカメラだから多少の揺れも平気だし、薄暗い場所での撮影も可能だ。
録画状態なのを確認した俺は、足音を忍ばせ女に近付いた。