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今日が、——最後になる。
この1年間、色々あった。
笑えたこと。
楽しかったこと。
そして、なにより——…
彼との思い出は、茫漠と続く時の歯車の岸辺に揺蕩いながら、さやさやと過ぎ去る心地良い波音を立てていた。
昨日までの出来事は、澄み渡る空の青さをいつの間にか追い越していた。
街の下に伸びるビルの影と、午後。
「私」が誰かを、彼に話すつもりはない。
7月7日。
——その「夜」の向こうに、何が“続いている”かを打ち明けるつもりもない。
私はただ、彼に伝えたかった。
伝えなきゃいけないことがあった。
「彼女」の願いを届けなくちゃいけなかった。
それはきっと、「いつか」なんかじゃなくて…
彼と再会できた日から、立ち止まるわけにはいかなかった。
彼女と約束していた。
星に願いを馳せた少女の夢を、置き去りにするわけにはいかなかった。
少女は、暗闇の向こうに見える光を追いかけていた。
「明日」を追いかけていた。
空を見上げれば、無数の星々が、地平線の彼方に流れていた。
果てのない旅を。
終着点のない道を。
月明かりが、雲の切れ間から差し込んでいた。
涼しい風が吹いていた。
満天の星空に向かって、まっすぐ手を伸ばさずにはいられなかった。
彼との「約束」が、たとえ永遠に、今日にたどり着けなかったとしても。
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