星が降る夜には

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星が降る夜には

 一年に一度、星が降る。  その日に一度だけ、星は夢を見る。  失われた過去と、まだ生まれてもいない未来。  7月7日。  織姫は、彦星を探しに旅に出ていた。  何億光年も離れた空の果てから、昨日と明日がすれ違う。  人はいつか、星に還る。  それは運命でもあり、時の約束でもあった。  星が流れる天の川で、束の間の安らぎを得るための希望と、——夢。  人々は探していた。  明日が続いていくことを夢見ていた。  だから織姫は、彦星を探しに行ったのだ。  たとえそれが、帰り道のない航路だったとしても。
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