7月7日

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 「起ーきーろー」  ガラ空きの脇腹を掴み、白いシャツの上から指を動かす。  彼の温もりが残るシーツの下に手を伸ばすと、ゴツゴツした肌触りが指先に触れた。  すべすべの肌と、捲れ上がったシャツ。  起きないんなら無理やり起こしてあげる。  私もそろそろ起きなくちゃいけないけど、まだ少しだけ余裕があった。  彼にはそんな余裕はない。  早朝のバイトの兼ね合いで、今すぐにでも支度をしなきゃいけないからだ。  「やめぇ」  夢半ばなのか、ゴニョゴニョと何か言っている。  ごめんだけど、聞こえない。  刺激が足りないってことでいいのかな?  だったら、もう少しだけ力を入れてあげるけど。  バサッ  捲れたシャツの下に指を入れると、彼は私の腕を押さえて覆い被さってきた。  癖っ毛の強い彼の前髪が、頬に触れる。  腫れぼったい瞼と、薄い唇。  起こしてごめん、なんて、言うつもりはなかった。  むしろ、感謝してほしいくらいだったから。  「やめぇって言うとるやろ」  「なんで?」  「あと少しだけ」  「少しって、もう6時だけど?」  「あと5分………………zzz」  力尽きたのか、そのままのしかかるように乗っかってきた。  重くて身動きが取れない。  くすぐってあげようにも、腕はロックされたまま。  …はあ。  だから清掃スタッフなんてやめときなよって言ったのに。  朝が弱いんだから夕方のバイトを探せば?って言ったけど、知り合いがいる場所で働きたいからって。  知り合いって言ったってサークルの先輩でしょ?  シフトが被るわけでもないし、大して絡みがあるわけでもないのに。
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