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空を見回す。青く青く、どこまでも広い。自分たちがいた島を見下ろす。なんて小さいのだろう。ほら、外の世界はこんなに美しく、広いのだ。島に閉じこもるなんて、つまらない。退屈だ。絶望だ。
リコは自由を望む。
そのために、障壁は壊す。それが先生の魔法であろうと、世界を滅ぼす魔物であろうと。
「でも、でも……、外は……魔物は、本当に」
世界に絶望し、逃げ出した魔女は、震えた声で呟く。
リコは、先生に手をさしのべた。
「私たちは、先生に育てられたんだよ。のびしろ、あると思うな。先生が大切に育てた樹みたいにさ、私たちもどんどん成長するの。魔物になんか、負けるわけない」
リコとサナは、広い空を見つめる。
晴れ晴れしいほどの空を。
この空を思う存分飛びたい。
「私たちを邪魔するものは全部、蹴散らすよ。だから行こうよ、先生」
先生の瞳に、リコとサナがどう映ったのか、リコにはわからない。
けれど先生は、強い光に導かれるように、リコへと手をのばした。リコも、その手をしっかりと握った。木々たちの手は拒んでしまったけれど、先生がのばすこの手は、離さない。
「先生にも見せてあげる、自由を!」
青い空を、三人の魔女が飛んでゆく。
――これは自由を求め、ついでに世界に自由をもたらすことになる、魔女の物語。
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