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大きな十字架に体を縛り付けられて、腕を縛られた。
その瞬間、私はハッと気づいた。
――私が一体何をしたというの?
――私は何も悪いことなんてしていない!皆は嘘で私を殺そうとしている!
――だめよ!ここで死んではならないっ!
――私を罠に嵌めた人たちに負けてはならないっ!
炎が私の体を包んだ瞬間、わずかなスキルが確かに私の体に戻ってきたのを感じた。だが、18歳の私は結局全てを失って屈した。
意識を失う直前、亡くなった母の顔が炎の中に浮かんだ。母はとても悲しい顔をして泣きながら私を見つめた。
今まで私を振ったヒューのことしか頭になかったが、シャーロットおばさまと呼んでいたゼルニエ侯爵夫人、その夫のゼルニエ侯爵、レロックス男爵、その子息のスチュアート、レロックス男爵夫人、モートン伯爵、モートン伯爵夫人、モートン伯爵令嬢のキャサリン、アリス姉妹、執事のハリー、家庭教師のパンティエーヴルさん、侍女のアデル、親友だったはずのルネ伯爵令嬢のマルグリット……父、継母、妹のアンヌ……。走馬灯のように私の周りにいた人の顔がぐるぐると浮かんだ。
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