129人が本棚に入れています
本棚に追加
一体誰が私を貶めたのか。誰が私を罠にはめたのか。私を死に至らせた犯人を突き止め、犯人の罠にハマらず、生き延びる。今回私が戻った理由はそれだ。それを知るにはこの時代から始めるということなのだろうか。アドレナリンが湧き出るのを感じる。ワクワクするような怖いような思いだ。敵はきっと近くにいるのだろう。
――16歳?15歳?
私はカレンダーのようなものがないか探した。私が17歳なら妹のアンヌは3歳だ。アンヌの2歳の誕生日から、私の聖女としての能力にフォーカスが当たった記憶がある。
アンヌの誕生日は3月だ。私が16歳か15歳ならば、法王が新年の1月1日を定めたのは10年前のことだ。バリドン公爵領では暦のようなものが普及はしていた。
私はハッと思い出して壁に駆け寄った。確かここに、乳母が毎年の身長を刻んでいたはず……
「見つけた!」
私は声に出して思わず叫んだ。壁の隅に確かにヴァイオレットの身長が刻まれた線が不規則に並んでいる。
――1、2、3、4……線が16本ある。今、私は16歳だわ!
窓の外を見ると庭に青紫のユキワリソウが咲いているのが見えた。紅葉したベニバスモモのピンクの花が見える。チェリープラムだ。
母が亡くなったのも、この花の季節だった。
最初のコメントを投稿しよう!