31 ヴァイオレット16歳の3月に戻る

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 ならば、3月に間違いないだろう。アンヌの2歳の誕生日会の直前に戻ってきていて、私は今は16歳の可能性がある。  私は日記帳を探した。まだ、日記をつけ始めていない可能性がある。私が日記をつけ始めたのは、聖女に選ばれることが濃厚になり始めてからだったから。  いつもの棚の中に、私の日記は存在しなかった。ならば、やはり私は16歳だろう。まだ誰にも聖女としての資質を知られていない。しかし、今回処刑された時の記憶ともに、つまり訓練を受けた記憶とともに戻ってきている。 「ステータスオープン」  私の頭上に確かにスキル一覧が出現した。  死ぬまであと2年ある。前回身につけたスキルの知識と、鋼のようになった折れない心と、スマホを持って、私は自分が死ぬ2年前に戻ってきたのだ。 「ヴァイオレットお嬢様、お目覚めですか?」  部屋がノックされて侍女のアデルの懐かしい声が聞こえた。 「アデル?」  私の体から、10代の若い少女の声が出た。 「あら、お目覚めでしたね!おはようございます、お嬢様!」  はつらつとした笑顔を浮かべてアデルが部屋に入ってきた。容疑者リスト1人目だ。
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