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「そうでございますね!早いものですわ。今日のお誕生日会には次の聖女候補と噂されているカトリーヌ様もお呼びしているそうですわよ。お会いするのが楽しみですわ」
私の体は衝撃で固まった。
――そうだ!すっかり忘れていたけれど、私が聖女に決まる前、聖女候補は他に2人いたわ。
となると、カトリーヌも容疑者の1人だ。私がいなければ、彼女が聖女に選ばれた可能性は残る。カトリーヌの気持ちを考えると、私はいない方が良い存在だったのではないか。
私はドキリとした心を隠すために、長い髪の毛に自分で櫛を入れて溶かし始めた。私の赤みがかかった髪の毛は、光の加減で金髪にも赤毛にもブルネットにも見える。
「朝ごはんの支度は整っておりますので、お嬢様はこちらに着替えて食堂に参りましょう」
アデルが出したドレスを私は見つめた。
そうだ。このドレスが事件を起こすのだった。淡いエメラルドのドレスがきっかけになる。
今日は、私が聖女としての力を初めて皆に示す日だ。マルグリッドもやってくるはずだ。ヒューの言っていた全員が集合する日だ。
私は16歳の3月に戻ったのだ。
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