33 ルネ伯爵令嬢マルグリッドの疑惑

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 私はカトリーヌのそばに近づき、にこやかに話しかけた。 「カトリーヌ様、初めまして。アンヌの姉のヴァイオレットです」 「あら、初めまして。カトリーヌよ。よろしくね」  カトリーヌは健康的に日に焼けた小麦色の肌をふわりと上気させて微笑んだ。 「スキルが見たいですが」  私はそっとカトリーヌにささやいた。 「あら、聖女に興味があるの?」 「えぇ」  私は彼女に微笑んだ。 「でも、訓練を積んである程度の力を持たないと見えないかもしれないわ」    カトリーヌは私に見えないかもしれないと配慮している言葉を囁いた。 「そうかもしれません。でも見たいのです」  私はそっと囁いた。カトリーヌは私の目を見つめてにっこりすると「ステータスオープン」と小さな声で言った。  カトリーヌの頭上にスキルが表示された。18歳まで生きてから死に、異世界に転生して20歳で記憶を全て取り戻してから戻ってきた私には、カトリーヌのスキルが見えた。 「素晴らしいわ」  私はため息をついた。確かに私のスキルには劣るが、彼女のスキルは素晴らしいものだった。
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