33 ルネ伯爵令嬢マルグリッドの疑惑

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 マルグリッドが私に呼びかける。マルグリッドの侍女が私の背後にいた。  継母のルイーズが私に注意をした。 「ヴァイオレット、火からもっと離れなさいっ!」  プリンを持ってきたバリドン公爵家の給仕の者とルネ伯爵家の侍女がぶつかり、ルイーズの声で後ろに後ずさった私がそれにぶつかった。勢いで私は火の中に押し出された。  エメラルドのドレスに瞬く間に火がついた。皆の悲鳴が聞こえる。  ――痛い!死ぬほど痛い! 「Lvl12の水の精にタスクを命じますか?」 「命じます!」  私は頭の中で聞こえた声に応えた。  私のエメラルドのドレスから瞬く間に火が消えた。私の赤く焼けた皮膚が見える。 「Lvl8の沈静力を使いますか?」 「使います!」  ジリジリと死ぬほど痛かった肌から痛みが少しずつ消えた。真っ赤になった皮膚から赤みが少しずつ消えていく。ほんの一瞬のことで、私はそもそもこうなることを知っていた。だから、前よりずっとスムーズにスキルを発動した。訓練を受けた記憶も残っている。16歳の私のスキルが完璧に仕上がっていなくても、私は聖女の訓練を受けた後の状態だった。
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