34 国王陛下にご挨拶

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「おぉ、ヴァイオレット。事情は分かった」  祖父は一瞬で私の言いたいことが分かったようだった。前回はしなかった会話を私は祖父とした。  別世界では中世の魔女裁判はやはり火炙りの刑だった。野蛮でありえない処罰だ。そんな刑をなくしたいと強く私は思った。ましてや私が誰かの恨みを買ってそんな野蛮の刑に処せられるなんて、一度ならず二度もは絶対に避けたい。  アデルが夕食を少し運び入れてくれて、私は言われた通りに部屋で食事をとった。傷は癒えていたが、それを使用人の皆が目の当たりにすると、また大変な騒ぎになることは前回のことで知っていた。料理人たちは私に火がついたのを皆目撃したのだから。だから部屋で食事を取ったのだ。  私は一人で考え続けた。  どこの土地をどうしてどの山が鉱山になるかをすぐさま国王に伝えることに決めた。どの土地に価値があるのか、どうすれば国を豊かにできるのか、前回の人生でわかっていることを先に伝えるのだ。その上で、聖女を一人に絞る必要はないと思うと訴えよう。  よく考えてみれば、国王も容疑者の一人だ。国王が私の処刑を命じた張本人なのだから。
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