128人が本棚に入れています
本棚に追加
ヒューが庭園の花を振り返った瞬間に、スマホで隠し撮りをした。この頃のヒューには縁談の話がひっきりなしに来ていたはずだ。でも、縁談の全てをヒューは断っていたはずだ。女性に興味がないと思われていたと、後々私にこっそり打ち明けてくれた。周りが放っておくはずがない。
ヒューは容姿、温厚な性格、ずば抜けた運動神経、いずれも素晴らしいと評判だった。ただ、私がヒューの魅力に気づいたのはだいぶ後になってからだ。聖女として一緒に馬車で各地を巡るようになってから、彼の魅力に気づいた。それまでは自国の王子としてしか彼を見ていなかった。
私は見た目は16歳だが、その中には18歳で処刑された公爵令嬢で、さらに20歳の苦学生が入っている。私の心はヒューにときめいた。顔が勝手に赤くなる。
「最近、アルフレッド王子とお会いしましたか」
私の言葉にヒューは驚いた表情で私を見つめた。
「アルフレッドとは最近会っていないよ。彼は法律を学びに他国の大学に通っているんだ。彼はルネ伯爵家の子息と仲がいい。私自身は最近はアルフレッドとは会っていない」
ヒューはそう教えてくれた。
最初のコメントを投稿しよう!