36 王子に結婚の申込

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 ヒューが庭園の花を振り返った瞬間に、スマホで隠し撮りをした。この頃のヒューには縁談の話がひっきりなしに来ていたはずだ。でも、縁談の全てをヒューは断っていたはずだ。女性に興味がないと思われていたと、後々私にこっそり打ち明けてくれた。周りが放っておくはずがない。  ヒューは容姿、温厚な性格、ずば抜けた運動神経、いずれも素晴らしいと評判だった。ただ、私がヒューの魅力に気づいたのはだいぶ後になってからだ。聖女として一緒に馬車で各地を巡るようになってから、彼の魅力に気づいた。それまでは自国の王子としてしか彼を見ていなかった。  私は見た目は16歳だが、その中には18歳で処刑された公爵令嬢で、さらに20歳の苦学生が入っている。私の心はヒューにときめいた。顔が勝手に赤くなる。 「最近、アルフレッド王子とお会いしましたか」  私の言葉にヒューは驚いた表情で私を見つめた。 「アルフレッドとは最近会っていないよ。彼は法律を学びに他国の大学に通っているんだ。彼はルネ伯爵家の子息と仲がいい。私自身は最近はアルフレッドとは会っていない」  ヒューはそう教えてくれた。
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