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「私たちは婚約期間を経ず、いきなり結婚しましょう。誰にも婚約したことを教えないのです。いいですか?」
ヒューはくすくす笑いながら私を見つめた。
「君、確かまだ16歳だよね?」
「えぇ、そうですわ」
「よく分からないが、それは未来のいつの話だろう?教えてくれるかな?」
ヒューはイタズラっぽい瞳で私を見つめていた。彼はおませな少女の冗談だと思っている。でも、今回の私は彼の記憶にしっかりとどまるだろうという確信があった。
婚期を確実なものにして、婚約期間無しに一気に確定させるのだ。時が来たら。
「2年後に私が18歳になったら、その時あなたは24歳です。私たちは式をあげましょう。婚約期間無しに一気に式をあげるのです」
ヒューは私をじっと見つめた。冗談かどうかを確認しているような目だ。
「君は本気なんだね?」
ヒューはたじろいだように言った。
「これも聖女の能力か何かなの?」
彼の問いに私は静かに唱えた。
「ステータスオープン」
私の頭上に数百のスキルが一気に並んだ。ヒューには見えるはずだ。ヒューは驚いた表情で口をぽかんと開けて私の頭上を見つめている。
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