133人が本棚に入れています
本棚に追加
/415ページ
この辺りは正直二人が何を言っているのかさっぱり理解できなかった。
「お車へどうぞ」
私がサッと駐車場に目を向けると、運転手が制服を着て、ドアの外に立っている黄色いフェラーリがあった。フェラーリって運転手が運転するものなのだろうか。
郊外の長閑な平和の昼下がりに、ファースドフード店の駐車場にフェラーリ。皆の視線が痛い。
私はため息をついた。乗るしかあるまい。
「ガラスの馬車でも用意なさいっ!」
相変わらずアスファルトにひざまずいている二人に吐き捨てるように冷たい声で言う。
公爵令嬢の設定は死守だ。そういう設定なのだから。
私は小さくため息をつくと、運転手に頷き、フェラーリの助手席の方に歩いて行った。
最初のコメントを投稿しよう!