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「聖女になるには素質が必要なの。生まれ持った力が求められるのよ。マルグリッドは聖女にならなくても、あなたなら十分に人を救える力を持っているわ」
母は優しく私に教えてくれた。
――『聖女にならなくても』なんて、そんな慰めの言葉は要らないわ。分かった。決めた。彼女に近づこう。そして、彼女が手にしたモノはいつか全てことごとく私がもらうわ。
私は誰にこの話を相談しようと思いながら、暖炉の火を見つめた。
あの侍女はクビにしてもらおう。私が同年齢で1番になりたいから、バリドン公爵令嬢を傷物にしようとしたなんて、誰かに漏らされたら困る。お母様の宝石を幾らかあげて黙るように念押ししておこう。
でも、予想外の展開で面白くなりそうだ、と私は思った。
やりがいがあるわ。
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