38 王立修道院へ ヴァイオレットSide

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 私は自分を変える必要があるのだ。真っ直ぐに人間を見つめて、相手の心に動じることなく対処できるようにならなければならない。今回、私は必ずこの弱点を克服するつもりだった。  私のように感情のコントロールができない公爵令嬢より、カトリーヌの方がよほど聖女に適していたと思う。  ――そして、ヒュー。私は彼の婚約者として、この時代の女性たちの妬みを一身に背負った可能性はあるわ。  人間は複雑だ。聖女と敬いながらも、女性としての幸せまで手に入れるとなると、激しい妬みを買うのではないだろうか。  私は、前回はヒューの妻としての説得力に欠けたのかもしれない。私は皆を納得させるために、圧倒的な力を示す必要があったのかもしれない。  改めて炎に包まれた時の悔しさを思い出した。嵌められたのは、私がお人よしで鈍感だったからだろうか。  ――私なら簡単に陥れられると思われたのだとしたら……。  気合いを入れ直す必要があると思った。今回は私は必ず犯人に負けない。二度と火炙りになどとされてたまるものか、私はそう思った。復活したからには犯人の好きにはさせないつもりだった。  王立修道院の修道女よりの訓練なのかもしれない。何が起きても己の力を冷静に発揮できる力を養う研鑽が私には必要だ。きっと必ず身につけよう。  
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