39 アイテム入手 ヴァイオレットSide

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「わたくしはこの力をこの国に捧げる所存です。つきましては、お願いがございます。私が聖女に選ばれたという噂が広まると、私のスキルを狙う諸国の者が現れると思います。こちらにある聖フランセーズの防御の盾と、聖ヴィクトワールの剣を貸し出していただけないでしょうか」  私がスマホ以外に集めるアイテムの2つ目と3つ目だ。前回の人生では、私はそんな物は不要だと思っていた。しかし、前回の人生で私は罠にはめられて冤罪で処刑された。  用心するに越したことはない。前回の人生と違う行動をする必要がある。私が王立修道院に持ちかけたのは、5世紀以上も前の聖女たちの遺品の貸し出しだ。聖女が他国や有力者に狙われて、自分の権力の道具にされる歴史は確かにあるのだ。聖女は自分の身を守る必要がある。私は前回の人生でそれをないがしろにし過ぎていたのかもしれない。  王立修道院長の目は目の前に置かれた胡椒、コリアンダー、サフラン、ナツメグ、砂糖の袋と、私の頭上に現れた数百のスキルとを交互に忙しく見比べた。  ――お願いっ!  ――私は自分の命を守りたいの。
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