40 国王Side

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「陛下!ハンドッヒ山からダイヤモンドが採れました!」  転がるように早馬が宮殿に駆け込んできたのは、つい先ほどだ。 「なんとっ!」  私は椅子から転がり落ちそうなほどの勢いで、伝令のそばに駆け寄った。伝令が震える手で差し出した布の中に、正八面体のストーンと呼ばれる原石が見えた。ソーヤブルだ。もっとも希少性が高く、最高級品質のダイヤモンドだ。  私は頭の中で素早く計算した。貧しい国のままでは、勢いのある侵略気質のある王に侵略されてしまう。民を守るためには、何らかの資源を使って強兵をする必要がある。それは分かっているのに、今まで方法を思いつかなかった。  私はバリドン公爵家のヴァイオレットの話したことは真実だと悟った。  彼女はおそらく本物だ。すぐに聖女に確定しよう。しかし、他の聖女候補についても、彼女に進言されたように聖女としよう。せっかく持って生まれた力を国のために使ってくれるという者は庇護する必要がある。彼女の言い分は正しい。 「今日は、ヴァイオレット公爵令嬢は王立修道院に向かっているはずだな?」  私は宰相に確認した。確か、昨日そういうスケジュールを説明したはずだ。
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