40 国王Side

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「陛下。さようでございます」 「分かった」  国の政には時にスピードが大事だ。他国に彼女を奪われてはならない。聖女にするだけでは足りないかもしれない。  懸念があった。他国のスパイが潜んでいる件だ。彼女の力を他国のスパイに悟られてはならない。16歳のヴァイオレットの顔を思い出した。あっけなく、殺されてしまう可能性がありそうだ。 「バリドン公爵家に使いの者を出そう」  私はあることを思いついた。先日隣の大国に迎え入れた花嫁は14歳だったというではないか。政略結婚だ。  彼女をヒューの未来の花嫁と定めたらどうだろうか。  気が早いとヒューには怒られそうだが、私は真剣に考え始めた。四方を大国に取り囲まれた我が国は、いつ領土を侵犯されてもおかしくない状況にあった。しかも、我が国の資源を活かしつつ、隣国に力を誇れる国に変える必要があった。16歳なら、まだ誰の敵でも味方でもないだろう。私はヒューとこの件について会話しなければと心の奥で決めた。
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