43 カール大帝と恋 ジゼルSide ※

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 15歳になった私は修道院を出て、都の色んな屋敷や店で働いたが、どこも長く続かなかった。クビの理由は素行不良だと言われた。男をたぶらして誘惑する娘というレッテルをどこでも貼られた。店の店主が私に手を出そうとして妻に見つかって私が追い出されたたり、屋敷でも色んな男性が私に興味を示して争いになり、私が男性たちを誘惑したとしてすぐに追い出された。  私は自分の貞操を守ることに必死だった。ここで純潔を保てたのは運が良かったのだ。確かに私の胸は素晴らしく豊かだった。でも、それがどういう意味なのかはこの時点ではよく分かっていなかった。  私は美人だと男たちは言い寄って来たが、私には自分が美人だとは思えなかった。母の方が美しいと思えた。    仕事が続かない私は、私は母の勧めで洋裁店でお針子として働くことにした。幼い頃から母の手伝いをしていたので、私は得意だった。店の客の相手も任された。  その日のことをよく覚えている。午後のゆったりとした時間が流れる中、店の扉が開き私が店番をしていた洋裁店に『未来の夫』がやってきたのだ。  夫は一目で私を気に入ったようだった。今までの男性と違うのは、夫が独身で子爵で、つまり貴族で、私を見つめる目が優しかったことだ。獣のように血走った目で私を見る男たちとはまるで違っていた。夫の年齢は40歳だという。私はその時18歳だった。運命の出会いだ。
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