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「ちょっと待ってください!今の会話はヒュー王子を疑っているということですか?」
ジーニンは純斗に食ってかかった。
「うーん、気になるというだけかな。今朝ヴァイオレットは朝帰りした。だから、考察会は本当は昨晩行われるはずだったのに、今日やっている。とみちゃんは、つまりヴァイオレットはヒューと朝まで過ごしたの?」
純斗はグイグイと踏み込んで質問をしてきた。私は力無くうなずいた。
「そう。ヒューと初めての夜を……過ごしたわ」
純斗の顔が一瞬強張った、と私は思った。ジーニンは息を飲んで無言になった。大家さんは「まあ、バイトの雇い主兼婚約者みたいな事を自分で言っていたしね」とつぶやいた。
ヒューの写真を純斗はホワイトボートの真ん中に置いた。
「善なのか、悪なのか、グレーなのか。彼について、今のところ僕は判断できない」
なぜか純斗は怒っていて、私との間に最悪な感情が漂っているようだ。だが、それがなぜなのか私もよく説明出来ない。
そこにヒューがやってきた。部屋のインターホンが押されて、純斗が出迎えた。ヒューはiPad以外の手荷物を手に持っていた。
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