45 死亡フラグとルネ伯爵家への乗り込み

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「バイト代67万円だ」  ヒューに振り込まれた金額をスマホ上で私は目を皿のようにしてみた。私の銀行アプリには、しっかりと胸踊る67万円の数字が並んでいた。  素晴らしい輝きを放って67万円と読み取れる。私はゼロの数を心の中で数えた。もう一度声に出してゼロの数を数えた。  一、十、百、千、一万、十万、六十七万円!  うわぁっ!素敵だっ!  最高だ!  夏のセミの鳴き声が一瞬遠のいた。涼風が私の心に染み渡ったかのようだ。 「ありがとうございます」  神様、ありがとうございます  私は涙が出るのを抑えられなかった。これで大学を辞めなくてすむ。ファーストフード店のバイト代で来月の家賃は払えるだろう。まだ食費はギリギリだと思う。しかし、私はなんとか前に進めるようだ。  私はリュックの中から大学の事務局の入金先口座が記載されたプリントを取り出してすぐさま銀行アプリで振込をした。  ちなみに、あれから近所の中学生男子が私のことを「聖女さま」と言って暇さえあれば付きまとっている。  マスコミは落ち着いていたが、スキルを発動してしまう事態は限りなく抑えなければならない。誰が見ているか分からないから。
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