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ボルディ商社が陛下の庇護を受けて、交易を盛んにできる状態になったか確認しよう。それからマルグリッドだ。いずれにしてもルネ伯爵家に乗り込む必要がある。ついでにマルグリッドの兄のポールに会い、アルフレッド王子にも会うのだ。
私は忙しい。
純斗は一体どこにいるのだろう?一緒にこの世界にやってきたはずだ。私はスマホを手にうろうろと部屋の中を落ち着かない思いで歩き回った。早く合流しなければ。この世界に慣れていない純斗は危険な目にあう可能性がある。
ひとまず私は顔を洗って、身支度を整えた。蛇口をひねれば水が出るのとは訳が違うので戸惑うが、私は元々この世界の人間だ。用意されていた桶に水が入れられている。アデルが昨晩用意してくれていたのだろう。
「ヴァイオレットお嬢様、お目覚めですか?」
部屋がノックされて侍女のアデルの声が聞こえた。私はスマホをサッと後ろに隠した。
「起きているわ、アデル。おはよう!」
私は勢いよくドアに駆け寄り、ドアを開けた。アデルは白っぽいエプロンをつけている。
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