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私の目の前にはラーメンと餃子のセットがあった。早朝からのファーストフードのシフトをこなしてくたくただった。ただですら眠いところにこの量を食べたら午後の講義は眠くなりそうだが、あいにく朝からほぼ何も食べていないので私はひどく空腹だ。二十歳の私は食欲旺盛だった。
ジーニンとヒューの前にもそれぞれ餃子とご飯がある。先ほど慣れた様子で自分たちで注文していた。
――私の食事もおごってくれたら嬉しかったのに。
今の私の状態は、平日の昼下がりのショッピングモールのフードコートのテーブル席で、ボロボロのシャツにジーンズの男性とタキシード姿の男性二人と、餃子定食を囲んでいる状態だ。特筆すべきなのは、泣き止み落ち着きを取り戻した二人の男性が目を輝かせて私をうっとりと見つめている点だろう。ため息をついてラーメンを食べている私の少し頭の上ぐらいを二人で時折見つめて、二人の男性は意味深にうなずきあっている。
――何が起きているのかまでは知る必要がないかもしれないけれど、この二人、本当に入り込んでいるわ。
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