45 死亡フラグとルネ伯爵家への乗り込み

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 従者は端的に素早く答えた。私はハッとして彼を見つめた。彼は私にうなずいてにっこりと笑った。 「あぁ、ジョセフ!ちょうど良かった。こっちを手伝ってくれ」  執事のハリーに呼びかけられて「じゃあ、ジョセフは行く」と私にささやき、彼はサッと私から離れた。 「はい、今行きます!」  ジョセフこと純斗は素早く身を翻して執事のハリーに足早に駆け寄って行った。  私は食堂の席につきながら、家庭教師のパンティエーヴルさん、継母のルイーズ、アンヌ、祖父、バリドン公爵である父と共に食事を取った。料理番ベスは私のために今日は焼き菓子を焼いてくれるらしい。私が聖女に確定した騒ぎに伴って祖父は完全に父に爵位を譲っていた。私が聖女になったのを見届けられたことで、大満足したようだ。 「ヴァイオレット、陛下から来た結婚の申込だが……」  私はここで思いっきりむせた。スープが気管に入ってしまったようだ。咳き込みが止まらない。 「大丈夫ですかっ!お嬢様!」  侍女のアデルがオロオロしている。継母のルイーズも気遣わしそうに私に駆け寄り、背中をさすろうとした。 「だ……だいじょうぶです」  私はなんとかむせるのがおさまり、深呼吸をした。父のバリドン公爵の言葉が気になる。
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