45 死亡フラグとルネ伯爵家への乗り込み

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 私はマルグリッドがこのことで黙っていないだろうと予測できたので、一刻も早くジョセフこと純斗と一緒にルネ伯爵家に乗り込みたかった。早口で話しながら食事を終えようと急いだ。 「ヴァイオレット、振る舞いを正しなさいっ!」  継母ルイーズが私の食べ方の速さに目くじらを立てた。当然だろう。だが、今は自分の命が惜しいので一刻も急ぐのです、とは言えなかった。腹が空いては戦ができぬ。これは富子側の意見だ。  そうだ、もう以前のヴァイオレットではない。私は一度死んでいる。たくましさと戦い方を少しは身につけて不死鳥のように舞い戻ったヴァイオレットだ。 「ごめんなさい、お母様。今日は急ぎの用事がございまして」  私はそれだけ告げると、父と母に謝ってサッと食堂を後にした。 「ジョセフは何をしているかしら?」  途中で出会った執事のハリーに私は尋ねた。裏で薪割りを手伝っていると言われて、私は急いでバリドン公爵家の裏庭に向かった。  彼の予想通りに死亡フラグがヴァイオレットに立った件を急いで報告して、御者のサミュエルに頼んでルネ伯爵家に行こう。マルグリッドに正面から対峙しよう。  今日は忙しい日になりそうだ。空は快晴だった。
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