46 ルネ伯爵邸でのスマッシュ

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 例えマルグリッドはまだ16歳とは言えだ。侍女をいい含めて炎の中に私を突き飛ばした疑惑のあるマルグリッドは、本当にそうしたのであれば性格異常者だろう。  急に私が聖女に選ばれてヒュー王子の花嫁に決まったとなれば、この秘密の話をマルグリッドが耳に入れた途端に我慢できなくなるはずだ。こういう者に力を持たせるのは危険だ。力を持っていなくても危険だが。  ルネ伯爵家に着くと、突然バリドン公爵家の令嬢が訪ねてきたとあって門番は慌てふためいた。すぐにルネ伯爵と伯爵夫人に話が伝えられ、門が開いた。  先日の事件のことで引け目を感じているルネ伯爵家は無下に私を追い返したりしないだろうという計算が私にあった。 「これはこれはヴァイオレットさま。本来ならばこちらからお詫びにお伺いすべきところ、大変申し訳ございませんっ!」  ルネ伯爵夫人は大慌てて玄関ホールに迎えに出向いてきた。遅れてルネ伯爵も転がるように走ってやってきて、私の来訪を大歓迎してくれた。
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