46 ルネ伯爵邸でのスマッシュ

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「ヴァイオレットでいいわよ」 「まあ、マルグリッドでいいですわ。私たち同じ年齢ですし、仲良くしましょう?」  私はその言葉には曖昧な笑みを浮かべた。  ――仲良くなんかできるわけないでしょっ。 「聖女になられたとか、おめでとうございます!最年少ですわね。素晴らしいですわ」  マルグリッドはニコニコして私を褒め称えた。丸い頬が愛らしいことを自覚しているようで、やたらとエクボを浮かべて笑みを浮かべている。  ――みんなこれに騙されるのよね。  私は内心よくやるわと感心しながら、とんでもないと謙遜した。 「そんなことないわ。カトリーヌ様も素晴らしい聖女ですわ。みんな聖女候補は聖女になったのですよ。陛下のおはからいですわ」  私は私だけが聖女ではないと強調した。 「私も聖女さまに憧れて、こうやって練習しているのですが、全くだめですのよ。やはり、私のような詰まらない凡人は平凡で普通の幸せをおとなしく目指すのがいいということですわね」  マルグリッドは殊勝なことを言ってのけた。ジョセフは呆れたような白けた目線でチラッとマルグリッドを見た。
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