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――さあて、何をしでかしてくれるかしら。私がヒュー王子と結婚することになったのは知っているの?知っていないのかしら?
私はマルグリッドに餌をあげることにした。
「そういえば、この前宮殿に行った時にヒュー王子にお会いしたのよ。素晴らしく素敵な方でした」
マルグリッドは苦痛に歪んだ表情を一瞬したが、すぐに消えた。微笑みを浮かべて私にそっと囁いた。
「秘密裏に結婚を進めるのでしょう?」
やはり、既に噂は出回っているのか。私は内心暗澹たる思いだった。彼女以外に敵がいるとしたら、その敵も知った事実となる。
「まあ、そういうことになるわ」
私は肯定した。
「あ、ウェディングドレスの仮縫いだったわ。何もないけど、式だけはあげておくことになったのよ」
真っ赤な嘘を餌として差し上げた。マルグリッドの唇は震えた。
――そうそう、どういう気持ちかしら?あなたの気持ちが手に取るように分かるわ。
私は慌てたようにジョセフを見つめて聞いた。
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