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「まだ間に合うかしら?うっかりしていました。仮縫いの時間が迫っているのに、マルグリッド嬢に会いたくて来てしまいましたわ。レースとダイヤの縫い付けで大変豪華な衣装を仕立てていただいておりますのよ。貴重な練習の邪魔をしてしまい、大変心苦しく思います。これにて失礼させていただきますわ。何せ王子との結婚ですので、抜かりがあってはならぬと母もうるさく申しつけてきますので」
私は華麗にマルグリッドに挨拶をして、素早く踵を返して庭園を歩いて戻ろうとした。
――えっと、確かこちらから来たのよね?
私とジョセフが広い庭園でキョロキョロと伯爵家の出口を探しているうちに、ビュンッ!と弓矢が私を狙って飛んできた。咄嗟にジョセフが私を押して矢はそばの木に突き刺さった。
「鉄製フライパンを出して!軽いやつ!」
ジョセフは私に素早く叫んだ。
「Lvl571の製鉄技術を使いますか?」
「使います!」
私の頭の中に声が響き、私は使うと言い、私の手にはいつの間にか鉄製フライパンで極薄タイプが出現していた。
フライパンは私の頭の中でイメージされたもの通りで、言語化しなくてもできてしまうようだ。
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