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ジョセフはそのフライパンを素早く手にした。
次に飛んできた矢をジョセフはフライパンを振り回して、テニスの要領で弾き飛ばした。
パンッ!
パンッ!
パンッ!
「うまっ!」
私は思わず手を叩いてジョセフを称えた。
「高校時代にテニスとバドミントンで国体に出ているんだ。インターハイね。特技なんだよ」
ジョセフはそう言いながら、軽快に猛スピードで飛んでくる矢を交わしている。
どちらかというと、バドミントンの競技をこなしているようにも見える。命懸けだが。
おりゃっ!
時々奇妙な掛け声をあげて、ジョセフはスマッシュを連発していた。
――もしかして、卓球もやっていた?
私の心の声を聞いたかのようにジョセフは言った。
「卓球もね。命懸けのこんな時に役立つとはね!」
彼は冷静に次々と矢を打ち返してかわした。
どうやら矢が尽きたようだ。私とジョセフは顔を見合わせて、マルグリッドのところに走った。さあて、どうやって懲らしめよう。
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