47 さようなら、マルグリッド

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 私は腕組みをして足で踏んづけている使用人に言った。16歳の公爵令嬢の体重では大した重みではないだろうが、許せないものは許せない。 「はい。さようでございます」 「いくら言いつけだからと言って、相手は16歳の小娘じゃない。善悪の判断があなたまでできないとは言わせないわ」 「大変申し訳ございませんっ!」  ルネ伯爵と伯爵夫人の元に彼をひっとらえて連れて行こう。見たところ、ルネ伯爵家の敷地には、流行りのブリテン仕様に改造中のエリアがあった。幾何学模様にするためと、噴水を作るために泥だらけで沼のようにぬかるんでいる。  ――そこにマルグリッドを突き落としてあげるわ。泥で罰せるとは思えないけれど。  使用人を伯爵と伯爵夫人の元に突き出すようにジョセフなかお願いすると、私は身を翻してマルグリッドの居場所に突進した。  先ほど彼女がスキルの発動の練習をしていた場所からさほど離れていない、敷地の中で少し高台になった場所でマルグリッドは高みの見物を決め込んでいたようだ。
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