47 さようなら、マルグリッド

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 私は追跡力と擬態力を使って、あっという間にマルグリッドの目の前に姿を現すことに成功した。 「な……何よっ!きゃっ!誰か助けてっ!!」  彼女は真っ青になって叫んだ。彼女のそばにいた侍女もスキル指導の男も真っ青になって後ずさっている。  私はこれみよがしに吠えた。  ワンワン!と犬のような声なのが玉に瑕だけれど、吠える姿は恐ろしいでしょう?  3人は恐怖の表情でジリジリと後ずさった。  チーターの擬態を解除して私はすっと16歳のヴァイオレットの姿に戻った。 「ヴァイオレットお嬢様!?「えぇ、あなたちが殺そうとしたそのヴァイオレットですよっ!」」  私は食い気味で名乗った。 「聖女のスキルがどのレベルかも知らずによく命が狙えましたわね?」  私はジリジリとマルグリッドに詰め寄った。 「侍女もあなたも、大の大人が殺人を目の前にしたら止めなさい!高みの見物を決め込んでいたなんて信じられないわ。私は容赦しませんわよ」  私は侍女も男も3人まとめて泥だらけの沼に落とすと決めた。  マルグリッドのドレスの背中の襟口をガシッとつかんだ。 「そこの二人も死にたくなければ歩きなさいっ!」  
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