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「鉄製フライパンで撃退したんですか?マルグリッド伯爵令嬢は大量の矢をお嬢様とジョセフに放った?」
「嘘でしょう?」
ヒューと魔導師ジーニンは吹き出したり、恐れをなした様子で私と純斗を見つめたり、青くなったり赤くなったりしていた。
「私はもう昔のヴァイオレットじゃない」
私は2人に説明した。
その時、私の古いスマホが午後の講義の時間が近づいていることを教えてくれた。純斗もちょうど同じ時間の講義があると言う。私たちは連れ立って足早にフードコートを後にした。
ヒューと魔導師ジーニンは、マルグリッドが私に矢を大量に放ち、負けずに私が彼女を子ブタにしたショックから抜け出せないようだった。2人はそのままそこに残してきた。彼女が反省すれば元の姿に戻るし、3日すれば、恐ろしい強烈な犯罪を含む悪巧みを考えるたびにウサギになるだけだと説明した。
スキルが使えない状態で、炎の中で焼け死ぬはめになった私の記憶力は健在だ。あの苦しみを二度と受けるような事があってはならない。恋敵を処刑させて、自分が王子と婚約するマルグリッドの所業は許せるものではない。私と純斗は、彼女を生かしただけ私たちは甘いかもしれないとは話し合っていた。
走るようにして大学の構内を急いで移動しながら、純斗が私の腕をつかんだ。
「待って、今言うよ」
私は振り返って純斗を見た。純斗が眼鏡を外した。
「ね、やっぱ似ているよね!?髪の毛が金髪じゃないけどさ」
「だよねー!?本人じゃない?うわっ、うちらと同じ大学だったの?」
周りの女子が騒いでいる声が耳に入った。純斗はハッとした様子でメガネをかけなおした。
「とみちゃん、にぶいよ、俺が好きだって気づかないの?」
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