50 純斗Side エリオットSide

2/5
前へ
/415ページ
次へ
 ジョセフから戻ってくる時、俺は分かった。  俺の名前はエリオット・アクレサンデル・レキュールだった。  一気に俺の記憶が蘇ったのだ。レキュールの辺境の地で、カール大帝の弟の中年貴族が18歳ぐらいのマルグリッドと密会している場面を思い出した。2人が会話していたこともだ。  俺の中で吐き気を催すほど思い出したくもない記憶だった。  なぜ、アパートの上の階に住むヴァイオレットの彼女に強烈に惹かれたのか、やっと納得ができた。最初からどうしようもなく好きだった。なぜか強烈に心惹かれて彼女がバイトをしているファーストフード店に通い詰めた。その理由がわかった。  俺は前世でヴァイオレットに惹かれていた。彼女を見るなり恋をしたのは、きっとそういうことなのだ。声なのか、仕草なのか、笑顔なのか、俺は彼女に会うと胸が温かくなってただただ幸せを感じた。
/415ページ

最初のコメントを投稿しよう!

131人が本棚に入れています
本棚に追加