12 ステータスオープン

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 彼が手を差し出した。思わず私は彼に差し出していた。まるで貴族の公爵令嬢のようなさりげなさで。彼の唇がそっと私の手に触れそうになり、私はハッとして思わず手を引っ込めた。  私の心臓がドキドキしているのはなんだろう。体が少し熱い。本当にありきたりの展開過ぎて嫌だ。私が恋するとか陳腐過ぎて無いから!と自分に言い聞かせる。  ヒューは照れたように頬をうっすらと染めて私を見つめている。彼の髪の毛は栗色というのだろうか黒ではない。彼の髪の毛と私を見つめる瞳がなぜか素晴らしいオーラに包まれているように見えて、ここがショッピングモールのフードコートだというのを一瞬忘れた。そのことは私を妙な心地にさせた。  目をしばたいた。
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