50 純斗Side エリオットSide

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 俺はエリオット・アクレサンデル・レキュールの記憶を受け入れた。なぜ、ヒューにいつも苛立ちを覚えるのか、ようやく理解した。  俺は隣国の貴族であるルノー・ガクセン・ハンリヒの本性を知っている。あいつが本当に欲しかったのは、ヴァイオレット自身だ。自分の妻か愛人としてヴァイオレットをとらえようとしていたはずだ。  ヴァイオレットが処刑された後、辺境の地は豊かになり、隣国のルノーに取られた。  そしてある日、ルノーがレキュールの地でマルグリッドと密会をして、マルグリッドに狂ったように怒り狂っている現場を偶然俺は目撃してしまった。 「殺すまでは望んでなかったんだ!」 「またその話?何回繰り返すのよっ!」  ルノーは髭を震わせ、顔を引き攣らせてマルグリッドを殺しかねない勢いで怒っていた。
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