51 新たな王位継承者 ハリー執事Side

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 しかしだ。ここにきてレキュール辺境伯が新たな次の王朝を開く可能性がささやかれていて、王家はピリピリしている。ヴァイオレットお嬢様がレキュールの地に足繁く通われていることも、エリオット伯爵がやたらと魅力的で爽やかな若い独身貴族であることも一因だろう。  お嬢様自らが婚姻を先延ばしにして、婚約を秘密にしてほしいとお願いした話も公然の秘密となっている。  あれもこれも秘密にしてくれというお嬢様の要望を国王陛下が受けてくださって実現したことだが、そろそろ限界だろう。挙式の1年前ともなると王家もバリドン公爵家も挙式の準備でおおわらわだからだ。  ただ、ご本人たちはまだお互いに夢中といった気配は無い。各地を確認する前に聖女であるお嬢様がある程度領地改革の指針を出したおかげもあり、ヒュー王子と聖女が各地を視察する機会はほぼ無い。つまり、お二人が近づく機会が無く、ブロンドで輝かしい瞳でお嬢様を見つめるレキュール辺境伯との時間が多くなるばかりだ。  お嬢様は王立修道院に通い詰めて、スキルの鍛錬に明け暮れていらっしゃる。その合間は計画に沿って発展計画を進めることに心を打ち砕かれていた。
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