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灰色の大地と灰色の空が果てしなく地平線まで続く景色が私の目の前に現れたように思った。ただ、それは一瞬のことで、すぐにいつものショッピングモールのただのフードコートのテーブル席に戻った。
『レキュール辺境伯領』
――今の何だろう。とっさにレキュール辺境伯爵領という単語が頭に浮かんだ。
『ラスボスが動き出す』
誰かの声が聞こえた。
ジーニンかヒューのスマホから、異世界転生バイトの演出で声が聞こえたのだろう。その時私はそう思ってあまり深く考えなかった。
「では、夜にアパートで待っているわ」
「迎えに行くよ」
私はヒューにうなずき、ジーニンにもうなずくと、テキパキとトレイを片付けてとフードコートを足早に立ち去った。
――ラスボスとは誰?
私は心の中でふと疑問に思った。振り返ると魔導師ジーニンとヒューは歩き去る私を見つめたままだった。
きっとラスボスは、聖女を死に至らしめた犯人のことだ。
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