53 ヒュー王子の骨折 魔導師ジーニンSide

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 私は魔導師ジーニンだ。  額の汗を拭う。努力型の私では、ヒュー王子の足を救えないようだ。これはおそらく隣国の権力者の魔術に因るものだろう。カール大帝はあれほどの大国を治めていながら、我が国を狙っている。ボルディ社が手堅く手広く始めた貿易が功を奏して、なんとか国益が増加傾向にあり、我が国は対抗できているとはいうものの、世継ぎの命を狙うとはやり方に容赦の無さを感じて、カール大帝が本気なのだと分かる。  ふーっ、へとへとだ………っ  私は魂が抜けたように脱力した。どれほど汗だくになって自分の限界まで曝け出して頑張ろうと、ヒュー王子の骨折を治せなかった。過去に落馬した際に馬が足に落ちてきて、足が骨折してしまい、その足を斧を切るように従者に命じて、それが原因で死んだ王がいなかっただろうか。なんと野蛮な、と私は思う。  そんなことはさせない。私は魔導師の名にかけてヒュー王子を救おうと思っていた。しかし、うまくいかない。
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