54 再会と喪失 ヴァイオレットSide

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 ジョセフはオドオドとした様子で私とレキュール辺境伯に謝罪した。私は今の会話の意味が全く分からず、穴があくほどエリオットとジョセフの両方の顔を交互に見つめた。 「さっきの馬は僕を狙ったんだと思う」  グッと身を乗り出してきて、小声でエリオットが私にささやいた。キスができるほど顔が近づいている。私は久しぶりに見た彼のとてつもないハンサムな顔を見つめた。碧い瞳にクラクラくる。  ――なんだろう?この感覚は……?  私は目をしばたいた。  ――彼はヒュー王子が落馬したことをなぜ知っているのだろう?それに私が魔導師ジーニンに呼ばれたこともなぜ知っているのだろう?  その両方を知っているのはジョセフの方だ。しかし、ジョセフはなぜここにいるのかさっぱり理解できない様子だ。  ――いや、この状況を把握しているのは純斗の方だわ。  ――純斗……?  私はエリオットの煌めく碧い瞳をじっと見つめた。そして茶色いジョセフの瞳をじっと見つめた。 「アパートの名前はなんですか?最近地球滅亡の危機にあったのは、何が起きたからですか?」
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