54 再会と喪失 ヴァイオレットSide

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 ジョセフは驚きのあまりによく分からないといった表情をしたまま私のお願いに従った。耳から聞こえてくる音楽に呆然としているようで、また初めての体験にうっとりしているような、そんな様子でもあった。 「さあ、どうぞ」  私がエリオットに先を続けるように促すと、彼が腕組みをしたまま人差し指を私の目の前に掲げた。 「いいか?俺は純斗でレキュール辺境伯のエリオットでもある。この前戻った時にそれが初めて分かったんだ。俺は前世でレキュール辺境伯だった。魔導師ジーニンが言っていただろう?君は亡くなったから戻れるって。俺も前回君が亡くなった後に死んだ。僕を殺したは隣国のカール大帝の弟のルノーだ。今、急にジョセフから僕はレキュール辺境伯の体に戻った」 「エリオットは殺されたの!?今みたいな攻撃を受けたの?」
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