13 絶対絶命

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 夏のアパートの前には、大家さんが育てているブルーリバーとピンクリバーのスーパートレニア カタリーナの涼やかで爽やかな花が咲いている。昼間はうだるほど暑かった今日も、今は夕涼みをしたくなるような風が吹いていた。私はヒューの長いまつげを見つめながら、なんて長いまつ毛をしているのだろうと思ったりしていた。   この人は31歳でタキシードを普段着として着たり、バイトする大学生の私の時間に合わせることができたり、いろいろ社会人としておかしいかもしれない。31歳というのも嘘かもしれない。31歳より若く見える。 「君は底なし沼のように貧しい人に分け与える人でね……」  ヒューはヴァイオレットの説明をしている。  ――つまりヴァイオレットは計算ができないってことだ。お人よしで計算ができない。  私はヴァイオレットに関する設定を記憶した。  
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