13 絶対絶命

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 運転席に座るヒューはタキシードではなく、ラフなポロシャツに白のスラックスという、爽やかなのにどこか色気が漂う格好だ。彼は長い指で器用にiPadに表示されている人物の画像を操り、私に説明を続けている。  私はヒューの様子をチラッと見ながら、考え込んだ。  この中の誰かがヴァイオレット公爵令嬢である私を殺したらしい。誰がヴァイオレットを無惨な死に追いやったのか、ヴァイオレットになりきって考察しなければならない。  ――それにしても、サブスクの動画配信サービスのドラマからでも切り取ってきたような人物解説だわ。本当によくできている……。豪華なドレスや宝石を身に纏っていて、彼らはまるで実在の人物みたいに見える。この人たち、このバイトのために本気なのね。  私は心の中で感嘆していた。ここまで本格的だとこちらも大変だ。
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