131人が本棚に入れています
本棚に追加
/415ページ
「鳥に擬態して鳥の浮遊力を利用しています。つまり、飛べます」
私は羽をバサバサと羽ばたき、急上昇した。夜は目が見えないはずの鳥なのに、よく見えた。フクロウか何かなのだろうか。グンっと私の背中を何かが引っ張る。私のリュックだ。
「iPadもリュックも持ち帰りたいのだけれど」
この際わがままを言ってみた。
「Lvl435の木の精にタスクを命じますか?」
「命じますぅぅぅ!」
私のリュックとiPadを木の枝たちが持ち上げる様が暗闇の中で見えた。私は夢を見ているのだ。死にかけて、もはやバイトの役と現実が混乱した状態で、きっと私は夢を見ているのだろう。
とにかく私は羽ばたいて夜空を真っ直ぐに飛んだ。
暗い山道をクネクネと何かが光りながら上ってくるのが見えた。私はそこに向かって急降下した。顔をこわばらせたヒューが運転席に乗っていて、スマホを運転席に固定して、Mapらしきものを睨んでいるのが見えた。我ながら凄い視力だ。
私はグングンと急降下した。木の間をリュックとiPadがぴょんぴょんと飛んでくる。これはきっと夢だ。間違いなく夢だ。
最初のコメントを投稿しよう!