15 死を前にして

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「鳥に擬態して鳥の浮遊力を利用しています。つまり、飛べます」  私は羽をバサバサと羽ばたき、急上昇した。夜は目が見えないはずの鳥なのに、よく見えた。フクロウか何かなのだろうか。グンっと私の背中を何かが引っ張る。私のリュックだ。 「iPadもリュックも持ち帰りたいのだけれど」  この際わがままを言ってみた。 「Lvl435の木の精にタスクを命じますか?」 「命じますぅぅぅ!」  私のリュックとiPadを木の枝たちが持ち上げる様が暗闇の中で見えた。私は夢を見ているのだ。死にかけて、もはやバイトの役と現実が混乱した状態で、きっと私は夢を見ているのだろう。  とにかく私は羽ばたいて夜空を真っ直ぐに飛んだ。  暗い山道をクネクネと何かが光りながら上ってくるのが見えた。私はそこに向かって急降下した。顔をこわばらせたヒューが運転席に乗っていて、スマホを運転席に固定して、Mapらしきものを睨んでいるのが見えた。我ながら凄い視力だ。  私はグングンと急降下した。木の間をリュックとiPadがぴょんぴょんと飛んでくる。これはきっと夢だ。間違いなく夢だ。  
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