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――ヒューに会ったら、平常心でいられるかしら?昨日のことは、結局、食事に行った後に酔って私は寝てしまって怖くて変な夢を見たということかもしれない。後でちゃんと聞いてみよう。
私は慌ててアパートから飛び出してきたので、すっぴんにジーンズとTシャツ姿だった。ふと手のひらを見つめると、切り傷がたくさんできていることに気づいた。
――あれ?こんな傷がいつの間にできたのだろう。昨日のことは夢だったはずなのに。
私は結菜の不思議な滞空時間のことを忘れて、自分の腕をさすった。腕には微かに跡が残るぐらいだったが、小さな傷がたくさんあった。
シャーロットおばさまのゼルニエ侯爵夫人は、私が聖女に選ばれたとき、確か私にこう言った。聖女のスキルには自然治癒力が非常に高まるスキルがあり、夜できた傷も朝にはほぼ治りかけているはずだと。
――えっ!そんなこと、ヒューがiPadをスワイプしながら昨日私に話してくれたのかな。今の話は一体どこで聞いた記憶なのだろう?
私は一瞬訳がわからなくなった。でも、次の瞬間には手の切り傷も腕の小さな傷が消えていた。
――あれ?さっきまであった傷がない…………。
私は呆然としたまま、サミュエルが告げる声を聞いた。
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